【同世代対談】スタイリスト小山田早織×東急百貨店バイヤー 吉田薫のファッショントーク vol.3「取捨選択するということ自体を楽しむのがアラサーファッションの醍醐味」

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自身が手がけたブランドもスタートし、注目を集めるスタイリスト小山田早織さんと東急百貨店バイヤー吉田薫さん。そんな同世代のお二人が自由にファッショントークをする期間限定連載。第三回目のテーマは「仕事、ライフスタイルの変化に伴うファッションとの関係」。制約がある中でも楽しむことを忘れない、大人のファッションとは?

ファッション 対談

「今まで後回しにしてきたところにお金を投資するのが楽しい」(吉田)

ーなにも気にせずに自分の好きな服を着られる若い頃に比べ、体型の変化や職場での立場を考え、着たい服をそのまま着られるシーンが減ってくる30代。ファッションが好きなお二人は、そういった変化とどういう向き合い方をしていますか?

小山田:私も自由に好きな格好をしたいと思いつつも、最近はCMの打ち合わせや企業に伺う日は、きちんとして見えるかどうかを考えるようになりましたね。昔はロゴTシャツで会議にも出席していたのに(笑)。そこは良い意味で大人になりました。でもそれがムリをしているというよりは、自分の好きな範囲でシチュエーションを楽しんでいるという感じですね。

吉田:それって、コスプレの感覚に近いですか?

小山田:そうそう、そんな感じです。たとえば、今までシャツって着たいと思ったことがなかったんです。「年が高めの人が着るもの」と思っていたんですよね。でも今は、大人の女性だから似合う服だなと思うようになってきたので、抵抗なく取り入れられるようになりました。でもそのまま着るのではなく、「こんな風に着れば今っぽく見える」とか、自分たちの年代に落とし込むヒントを模索することが最近は楽しいなと。吉田さんはどうですか?

吉田:私もスーツを着るようになったので、いつでも自由な服を着るという風にはいかなくなりましたね。ただ、スーツでもどこかしら自分らしさを残すよう意識しています。ジャケット、パンツはシンプルなブラックでも、インナーにはちょっと個性的なものを入れるとか。最近はノーカラーの着丈長めのジャケットを個人的に気に入っているので、それにベルトを組み合わせてみたり。なるべく人と同じような着こなしにならないようにしています。

小山田:スーツはみんなが着るアイテムだけに、何も考えずに着るとすごく無難になってしまいますもんね。

吉田:そう。だから何回も着るのであれば、リクルートスーツではなくてコレクションブランドのジャケットを1着買って“一張羅”的に着るのも一つの方法ですよね。私も、大人になってちょっと余裕になるお金ができてきたから、今までは後回しにしてきたところにお金を投資するようになってきましたね。

小山田:仕立ての良さはシンプルな服ほど違いがでますからね。

吉田:最近、仕事で人前に立つ機会があったので、きちんと感があって、適度に個性的かつ華やかさを演出してくれるワンピースを探していたのですが、結果的にmameのワンピースを買いました。シンプルなデザインなんですが、袖のレースと刺繍が個性的で目を引き、1枚で華やかさと品を演出してくれるので、非常に気に入っています。ワンピの場合は、好きなデザインならずっと着られるので、多少値段が張っても投資する価値はあるのかなと思ってます。

小山田:それいいですね。私は「バッグは裏切らない!」と思っている派だから、ベーシック系の色のバッグは多少値が張っても買ってもいいんじゃないかなと思います。

「コスパのいいものを選ぶ目を養うには、いろいろ着たり見たりすることが一番」(小山田)

ー制約があるなかでも好きな服を着ることは、毎日のモチベーションに繋がりますよね。他にも、“いいブランド”を知ることの良さってありますか?

吉田:高価なものから安価なものまで袖を通す機会が多くなればなるほど、ブランドごとのよさが見えてくるようになるんです。“いいもの”とされるものをちゃんと知っていると比較購買の基準になるので、自ずとここのブランドは値段の割に生地や糸はいいものを使ってるなとか、発見できるようになってくるんですよね。今季流行っているこのアイテムはここのブランドからインスパイアされているんだなとかもわかると、お金のかけどころが自然と見えてきますよね。

小山田:欲しいものすべてを高いブランドで買う訳には、なかなかいかないですもんね。

吉田:値段はお手頃で素材はいいというブランドを見極めることも、大人にとっては大切なこと。

小山田:もちろんファストファッションにもいいものが沢山あるけれど、「それを着るのは30代としてどうなんだろう?」ってアイテムもやっぱりあるんですよ。そういうアイテムはスルーして、「これはこの値段には見えないよね」というコスパのいいものを選ぶ目を養うには、いろいろ着たり、見たりすることが一番。

吉田:安くても本当にいい素材を使っていたり、ディテールにこだわっているブランドかどうかの判断は、実際に着た時にしかわからないですからね。30代、40代、とくに体型が崩れてくる世代をターゲットにするブランドは、そのあたりのマーケティングがきちんとされていて上手なんですよ。一見同じ白Tシャツをきても、胸の開き方や鎖骨の出方がぜんぶ計算されている。ぜひ一度着てみて違いを感じてみてください!

小山田:シチュエーションもそうですけど、アラサーになると着たい服が似合う服じゃなくなってるというジレンマもでてきますもんね。

吉田:私は肩幅が広いのでTシャツも肩が浮いちゃったとか、見ている分には可愛いのに着てみたらバランスが悪かったとかって多いほうなんです。でも、何回も着たり接客していると、自分に似合うものの法則が分かるようになってくる。スタイリストさんもそうですよね?

小山田:そうそう。だから試着はマスト推奨派なんです。正直、トレンドを全力で追う年齢じゃないじゃないですか、アラサー世代って。だから自分がどういうライフスタイルを送りたいかというとこに焦点をあてて、そこに見合ったシチュエーションに合う服を自分で取捨選択するということ自体を楽しむのがアラサーのファッションの醍醐味だと思うんです。たとえば、お寿司は高いけど、1皿100円のお寿司でも美味しいじゃないですか。でも、30代になったら高いものを知らないで100円のお寿司だけを食べているのはちょっと違うというか。ファッションもまったく一緒で、経済力もある程度余裕もでてきた今だからこそ、高い服にチャレンジしてみてもいいと思うんです。

吉田:いいものを知ることで自分のものさしの幅がすごく広がりますよね。

小山田:いいものは百貨店で試着して、買えなくても「いつか買いたい」という憧れやビジョンを持つことでもまったく違う。自分の使えるお金、バジェットにみあった感じで楽しんでいってほしいですね。

カメラマン:大門徹
ライター:池城仁来

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