【アート初心者向けレッスンNo.1】美術館をもっと楽しく鑑賞する方法教えます

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「本格的なアートって、ちょっと興味があるけれど難しそう」「美術館ってマナーや堅苦しいイメージがあって入りにくい」そんな思いこみもあり、美術館へ行く機会は、なかなかないものです。でも、「アートを楽しむ」って本当は誰でも気軽にできること。

本連載では、「アートを楽しむ」ちょっとしたコツと役立つ知識をご紹介していきます。

Bunkamura ザ・ミュージアム 展示会

絵画、彫刻、写真などアートの種類はさまざま。知識がないと「作品をきちんと理解することができないのでは?」と考えてしまいます。

しかしそれは大きな勘違い。アートは知識がなくても、自由に自分の想像を膨らませて鑑賞していいものなのです!では、どのように想像を膨らませればいいのでしょうか。

Bunkamura ザ・ミュージアム 展示会

今回は、Bunkamuraのザ・ミュージアムで開催されている展覧会「ベルギー奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで」を例にとって、アートを楽しく鑑賞するコツをお話したいと思います。

入場前にチラシで展覧会の予習をしよう

Bunkamura ザ・ミュージアム 展示会

渋谷にある複合文化施設Bunkamuraの地下1階にあるザ・ミュージアム。まずはエスカレーターを下った左手にあるチケット売り場で当日券を購入しましょう。

さあ、いざ美術展へ!
…と、その前に、売り場付近にあるラックの展覧会のチラシをチェック。

Bunkamura ザ・ミュージアム 展示会
Bunkamura ザ・ミュージアム 展示会

こちらには展覧会の中で注目してほしい作品の他、時代背景や開催に至った経緯などが簡単に記されているため、入館前に作品を予習できます。ザ・ミュージアムのWEBサイトでも、オリジナルの動画と共に展覧会の見どころなどが掲載されているので、そちらも必見です。

Bunkamura ザ・ミュージアム 展示会

チケットを係の人に渡した後は、入り口右側に進んだロッカーに大きい荷物は預けましょう。途中休憩するソファもありますが、基本は立ちっぱなしです。混雑する場合もあるので、荷物は預けておくと他の人の邪魔になりません。ザ・ミュージアムのロッカーは無料のため、ここは甘えてしまいましょう。

混雑時でも作品を楽しめる音声ガイドが便利

Bunkamura ザ・ミュージアム 展示会

展覧会を十二分に楽しむには、音声ガイドがおすすめです。「ベルギー奇想の系譜」展では音声ガイドの貸し出しがあります。専用の貸し出しカウンターで、展覧会オリジナルの音声ガイドを¥520(税込)で借りることができます。

Bunkamura ザ・ミュージアム 展示会

作品の近くに解説パネルが添えられている場合もありますが、作品と解説を交互に見比べると、どうしても理解しやすい解説ばかり見てしまうもの。

Bunkamura ザ・ミュージアム 展示会

音声ガイドを使うと、作品の横にあるパネルの番号を押せば、その作品の解説が音声で流れるため、鑑賞しながら作品の知識を深められます。作品紹介のほか、パネルには書かれていない作家のエピソードなども紹介してくれるので、これひとつで展覧会の魅力が倍増すること間違いなし。

いざ鑑賞!作品だけでなく、美術展全体でテーマをとらえて

Bunkamura ザ・ミュージアム 展示会

美術展は、一冊の本のように考えてください。
館内はパーテーションでいくつかのブースに区切られており、これは本でいうと各章にあたります。展覧会をより理解しやすいように、テーマ、もしくは時代ごとに順序立てて構成されているのです。

Bunkamura ザ・ミュージアム 展示会

たとえば、本展のタイトルは「ベルギー奇想の系譜」。そして最初のブースには「第一章 15-17世紀のフランドル美術」と書いてあるパネルがあります。

パネルを読むと、ベルギーの「奇想」的な絵は16-17世紀に始まり、画家たちは魚や鳥、昆虫などをミックスして「悪魔」を描いていたことがわかります。「奇想」=「想像の悪魔」といった各章のキーワードをパネルで手に入れておくと、作品を読み解くときに便利です。

まずは作品と対話をしてみる。知識の詰め込みはそのあとで

前準備が長くなりましたが、ここからいよいよ作品を観察してみましょう。
ただボーッと作品を見つめるよりも、全体、そして作品の中に描かれているものを目で追いかけてみてください。

Bunkamura ザ・ミュージアム 展示会

そのときに「なにが描かれているのだろう」「なんで描いたのだろう」「この中ではどのような時間(ストーリー)が流れているのだろう」など自問すると、目が自然と答えを探し出し、作品を細かく観察できます。
もしくは「自分がこの作品の中に入り込んだとしたら」「自分が描くとしたら」「似た景色を見たことがある」など自分事にして考えてみると想像しやすくなるかも。

大事なのは作品に関する知識ではなく、まず自分がその作品から何を感じたかを知ることです。知識や前情報はあると便利ですが、正解を先に手に入れてしまうと、作品に対して自由に想像できなくなるのが欠点。

例えばチラシやWEBサイトのトップを飾っているこの作品、《トゥヌグダルスの幻視》。

Bunkamura ザ・ミュージアム 展示会《トゥヌグダルスの幻視》ヒエロニムス・ボス工房、1490-1500年頃

油彩・板 ラサロ・ガルディアーノ財団©︎Fundación Lázaro Galdiano
作品の中央には、大きな人の顔があり、鼻からコインが出ています。奥の建物からは火が上がり、周りには悪魔たちが人々に槍を突き刺したり鏡を見せたりして右往左往している中、赤い服を着た人物が左隅でうたたね中。

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みなさんはこの作品を見てどのように感じましたか。ちょっとグロテスクな描写がある中、カラフルな画面からは悲壮感やおどろおどろしさを感じることなく、どこかユーモラス。

この作品は12世紀頃にヒルべニア(アイルランド)の騎士トゥヌグダルスが体験した臨死体験、その中でも地獄の様子を描いたものです。左隅の人はこの絵画の主人公、トゥヌグダルス。死後の世界では、死者が煉獄で裁判を受け、救われるものは天国へ、現世で悪事を働いたものは地獄に堕ちるとされています。

この知識を得たあとで、作品を見てどう感じますか。
自分が受けた印象と、実際に作家が意図して描いたものが違っていても問題ありません。反対に、知識を得たことでまた違った目線で鑑賞できるため、その作品を二倍楽しめてラッキーかも?

世界の名作≠自分の好きな作品 心で作品を鑑賞する

Bunkamura ザ・ミュージアム 展示会

展覧会では少なくとも100以上の作品が展示されていることが多いため、全ての作品を学ぼうと気負わずに、ゆっくり見て廻りましょう。教科書の内容を頭に詰め込むように、作品を理性的に捉えようとすると、頭がパンクしてしまいます。まずは自分の心で捉えるのが大事です。

アートを愛でる心に正解、間違いはありません。
個人的には、美術展の中で自分の心に深く刺さるものがひとつあれば十分だと考えています。それが世界的に有名な作品でも、無名でも構いません。自分の中では名作に間違いないのですから。

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誰でも、旅先や日常で目にした景色に心を奪われる経験があると思います。そのときのように、自然体でアートに心を開いてほしいのです。ふと目が離せなくなったとき、「なぜ自分はこのアートが気になるのだろう」と理由を探して言葉に当てはめてみると、自然と作品への興味が湧き、知識を深めたくなるものです。

自分にとっての名作に出会ったときの衝撃は言葉で説明できず、一目惚れに近いものがあります。どうしても作品から離れられずに、飽きずに見続けてしまう不思議な魅力がアートには隠れています。
ぜひアートの鑑賞法をマスターして、自分だけの「これだけは譲れない」という作品を見つけてくださいね。

【展覧会概要】
展覧会名:ベルギー奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで
開催期間:2017/7/15(土)-9/24(日) (*7/18(火)、8/22(火)のみ休館)
開館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)
毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
入館料:一般 1,500円 大学・高校生 1,000円 中学・小学生 700円(すべて税込)
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム(東京都渋谷区道玄坂2-24-1)
展覧会URL:http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/17_belgium/
施設URL:http://www.bunkamura.co.jp/

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