クリエイター専門シェアオフィスってどんなところ? co-lab渋谷キャストの入居者にインタビュー

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2017年4月に渋谷にオープンした複合クリエイティブ施設「渋谷キャスト」。その中に位置するするクリエイター特化型のシェアオフィス、「co-lab(コーラボ)渋谷キャスト」には、IT系から映画監督まで、約150人ものクリエイターが利用しています。今回は、会員の方々に、シェアオフィス活用の実態と、渋谷の街に対する想いを伺いました。

元国会議員の映画監督も在籍 クリエイターがシェアオフィスを使う利点とは

Q1:簡単なご経歴をお聞かせください。

映画監督・演出家をしている松本和巳と申します。これまでの経歴は少し異色で、政治家をやっていました。元小泉チルドレンで、国会議員として務めていたんです。舞台演出の仕事自体は長くやってきましたが、映画を撮るのは初めてでして、今はシングルマザーが置かれた状況を映像にしようと仕掛かり中です。

co-lab 渋谷キャスト映画監督・演出家  写真家 デザイナー ソーシャルイノベーター
松本 和巳さん
何事にも真剣で前向き、映画への熱い愛情を語る姿がとっても印象的でした。

Q2:co-labに入られたきっかけは何ですか?

自分の働き方を変えようと思ったことがきっかけですね。自分の事務所で仕事をしていると他の人とのコミュニケーションがないんですよ。特にこういうクリエイトの世界って、1人だとどんどん内にこもって、外と交わらなくなってしまう。

そのため、シェアオフィスには昔から関心を持っていました。ただ、バーチャルオフィスというと、架空で実態がないもの、というようなマイナスイメージも正直ありまして、入居はためらうところがあったんです。

その点、co-labはクリエイターに特化していて、入居審査しているのがよかったですね。運営側でしっかりカテゴライズしてくれているので、外部にもすごく説明がしやすいんですよ。あと、クリエイターの方がたくさん入っているので刺激にもなりますし。実際、YouTube Space Tokyoのリニューアルオープンのキャスティングは、こちらのオフィスのクリエイターさんにもお願いしました。

Q3:入ってみて、気持ちいいなと感じるものは何ですか?

もう絶対的に掃除をしなくてよいことですね(笑)。あと、光熱費含めて全部固定費なんです。ひとりで一室借りるより明らかに安いわけですよ。煩わしさもなく、他の人とコミュニケーションできて、お客さんも来やすいので、色んな意味で前向きになれたと思いますね。

もちろん、いいことばかりではなくて、みんなの声が聞こえるような環境なので守秘義務に気をつけたりするところはあります。そういったことを気にせず集中できるスペースなどできたら、もっと良くなると思いますね。

東京国際映画祭も渋谷で? 「人」を軸にした渋谷の街づくりとは

co-lab 渋谷キャスト映画「single mom 優しい家族。」撮影風景より

Q4:渋谷の街に期待することは何ですか?

今の渋谷の街はエネルギーはものすごくあって、若い人もたくさんいて、エネルギーがあると思います。ただ、見てるとどうしても雑多なイメージですね。

渋谷キャストのようなクリエイティブ専門のビルも建ちましたし、もうちょっとクリエイティブな形の街づくりができるといいなと思います。それは単に見た目がかっこいいということではありません。綺麗な建物はどんなところにでも建てられるんですよ。

そうではなくて、人が自然と集まってくるような街になるといいですね。街って、最終的には「どういう人が集まっているか」によって決まってしまうと思うんです。なので、「きれいな建物を作ろうよ」というより、「こういう人たちを集めようよ」という考えで街づくりができるといいんじゃないですかね。

例えば「クリエイターが自由に発想できて世界に発信できる街」とか。へんな話、東京には繁華街とかいっぱいあるじゃないですか。でも、ある特定のカテゴライズされたものを除いては、どこの街にいっても同じなんですよね。だから、人ありきで考えるという。その方が楽しいんじゃないかな。みんな夢も持てると思いますし。

あと、東京国際映画祭はまた渋谷でやってほしいですね。今は六本木に移ってしまいましたが、僕のまわりで話になるのは、渋谷にあったときの方が華やかだったということ。レッドカーペットをバーっとひいてさ。

そういう華やかさみたいなものもあると、「おお、渋谷すげえな!」という印象も生まれますよね。映画といえばハリウッドを思い浮かべるように、映画を観るなら渋谷、というふうになれば皆に分かりやすいんじゃないですかね。

Q5:渋谷は様々な人がいて、「こういう街」というブランディングは難しいのではないですか?

だからこそ、僕は人だと思っているんです。人なら色がないから。たとえば「綺麗な街」とすると、そのイメージに合わない人は来れなくなってしまいますよね。でも、「映画の街」といった嗜好でカテゴライズされていれば、その人の個性によらないで訪れることができる街になるんです。

来る人それぞれのキャラクターが違っていても、「何を目的にその街に来ているのか」というのがはっきりすればいいんですね。”インスタ映えする街”ではなく、”インスタ映えする人が集まる街”になると面白いと思います。そして、そういう街のイメージを発信していくことができれば、街の見え方が変わってくるのかな、と思いますね。

今は、街にあふれるパワーはすごいですが、それについていける人とそうでない人がいると思います。そうなると街に来ている人の間で気持ちの乖離が起きてしまいますよね。渋谷はすごく可能性にあふれたところなので、今後の街づくりに期待したいですね。

co-labのつながりを通じて仕事が急増 フリーランスから法人設立も

Q1:現在のお仕事内容をお聞かせください。

コーディング専門の制作会社FLATの代表をしているサトウハルミと申します。co-labに入る前は制作会社で8年間コードを書いていて、その後フリーランス4年、会社化して2年になります。

「デザインは得意だけど、高度なプログラムはリソースがない」「コーディングはアウトソースしたい」といったニーズを専門に請け負っています。制作会社さんはデザインからコーディングまでトータルで請け負うことが多いので、少し珍しい会社かと思いますね。

co-lab 渋谷キャスト株式会社FLAT 代表/マークアップエンジニア
サトウ ハルミさん
もの静かで理知的なお話しの中にも、ご自身で創り上げてきたお仕事への熱い想いが込められてました。

Q2:co-labに入った理由は何だったのでしょうか?

家と仕事をしっかり分けたかったのと、ちゃんとした打ち合わせができるようにしたかったことが入居の理由です。入った当時はフリーランスだったのですが、カフェで面談などしていると、おつきあいさせていただける企業様も限られてくるので。

こちらの前身の、渋谷区宇田川町にあったco-lab渋谷アトリエができてすぐの頃からお世話になっていて、もう入ってから5年以上たちますね。

Q3:入ってみて、一番いいなと思うところは何ですか?

独立事務所と違うのは、「人がいる」ということですね。同僚とも違う、取引先とも違う存在の人が近くに働いているという感じです。普段話さないような人とも話せたりしますね。この前は他のクリエイターの方と一緒に、co-lab内でおでん会を開催しました。

co-labの中にはデザイナーの方が多くて、お仕事でコラボすることも多いですね。売り上げの何割かはco-lab内でご紹介いただいたと思います。やっぱり近くで顔を合わせて打ち合わせする方が、仕事を振りやすいですよね。

私自身がフリーランスから会社設立に至ったのも、co-labのつながりを通じて、ひとりではやりきれない位の仕事が入ってきたことが理由でした。あと、まわりに会社を経営している人が多いので、自分も会社というものを具体的にイメージできました。「人を雇うのってどうしたらいいんだろう?」といった悩みもすぐに聞けたりしたので。

ただ、同じ会社で一緒に働くのとは違って、入っている人同士の距離感は多少あるので、自分から積極的に交流しにいく人の方が、シェアオフィスはマッチする確率が高いと思います。交通費・事務所代などの費用もかかかりますが、うまく活用できる人にとっては、それをずっと上回るメリットがあると思いますね。

クリエイターが働く場所として、渋谷は圧倒的な存在!

co-lab 渋谷キャスト

Q4:選ぶときに、渋谷の街はポイントになりましたか?

なりましたね。渋谷だと何かのついでに寄ってもらえますよね。うちも渋谷だよ、ということで仕事になることもありますし。ここが一駅離れた駅とかに事務所があると、ついでには来れないですよね。

ものづくりしている人は渋谷とか表参道、恵比寿が多いんですよ。お客さんが恵比寿にいたとしても「あ、そこまで行けますよ」と言えればお取引の機会も広がりますし。渋谷にあるというだけで、来やすさ、呼びやすさが全然違うので、クリエイターの企業としては価値がとても大きいですね。

ものづくりの世界だと、近くで仕事をしている人に依頼したいという感覚が強いと思うんです。何かあったときにすぐ近くにいけるかな、と気にされるので。たとえ会う回数が少なかったとしても、近いと安心感がありますよね。実際に、お客さんから明日来て、という依頼も結構あったりしますし。

ものづくりって、特にスピード感が大事で、お客さんのところに行って帰ってくると3時間とかかかってしまうようだと、半日つぶれてしまうんですよ。それに対して、ちょっとお昼のついでに行って帰ってくれば1時間位で済む、というのだと全然違いますよね。

お客さんとは継続的に付き合うものなので、一回の打ち合わせごとに半日かかると、負担ですよね。Webの世界はスピードが大事ですし、作ったらすぐにアップできる世界なので、そこから1日、2日かかるとなると、他のところに負けちゃうんですよ。なので、オフィスの場所は大事ですね。

Q5:これから渋谷に期待することは何ですか?

今の渋谷は、わりとごちゃごちゃしていて、カラーがなんとなく分からなくなってきている気がします。あと、「渋谷の○○の営業が終了」といったニュースを見ることもあるので、少し寂しくなってきたかな、と。パルコとか色んなものが無くなっていってると感じるので。再開発を通じて、渋谷に出かけたくなるようなものがあるといいな、と思いますね。

今回は2名のクリエイターにお話をお伺いしましたが、渋谷ではまだまだたくさんのクリエイターたちが活躍しています。スクランブル編集部は今後も取材を続ける予定です。次回もお楽しみに!

【取材協力】
co-lab 渋谷キャスト
所在地:東京都渋谷区渋谷1-23-21 渋谷キャスト 1F
URL:http://co-lab.jp/

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