映画解説者・中井圭の「今宵は渋谷で映画でも?」vol.25 恐怖のゲーム再び『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』

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本コラムでは、「映画をもっと知りたくなる」をテーマに、渋谷で観ることができる作品をご紹介します。25回目は、2018年4月6日(金)公開の映画『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』です。本作は、TOHOシネマズ渋谷でご覧いただけます。

恐怖のゲームが帰ってきた

“ジュマンジ”という言葉に反応する人は、おそらく30代以上でしょう。それくらい懐かしい響きがあります。

本シリーズの初作となる映画『ジュマンジ』は、“ジュマンジ”と書かれた謎のすごろく型ボードゲームを見つけた少年少女たちがゲームを始めたことで現実世界に巻き起こるとんでもないトラブルを描いたアクションアドベンチャー作品。日本で劇場公開になったのは、1996年。あのドコドコ鳴る不穏な太鼓の音を覚えている人は、今もなお少なくないはずです。

同作はヒットし、その後、『ザスーラ』というシリーズ的位置づけの作品が登場しました。そして、いよいよ『ジュマンジ』の正統後継的作品が22年の月日を越えて日本にやってきたのです。

本作は、ひょんなことから学校で罰を与えられた、全く性格の違う少年少女たちが、“ジュマンジ”にうっかり手を出してしまい、クリアしない限りに抜け出せない仮想現実世界に引きずり込まれてしまうというもの。

前作ではボードゲームで表現されたその世界が、時代の流れとともにテレビゲームに変化。再び子供たちを恐怖のどん底に叩き落とすのです。

人間の内面を描く「相互理解」の物語

本作が上手いのは、そのキャラクター設定。強気な体育会系男子、内気なオタク系男子、インスタを気にするキラキラ女子、そして地味系女子といった、友達でも何でもない全く属性の違う少年少女たちが一斉に“ジュマンジ”の世界に連れていかれます。

そして、連れて行かれた先でキャラクターを選ぶことで、現実世界とは全く違う人物に変化します。現実ではかわいさを売りにしている女子が、うっかりジャック・ブラック演じる小太り中年男性になってしまうのは悲劇でしかありませんし、内気なオタク男子は、まさかのドウェイン・ジョンソン演じる筋骨隆々の真逆のキャラクターに変化します。

このように現実世界とは正反対のキャラクターに変化し、“ジュマンジ”内で起こるいくつもの課題をクリアする中で浮かび上がるのは、人間の内面。見た目ではなく内面によって、人は本当の意味で相手を理解し敬意を持てるというメッセージが本作には込められています。

かつて80年代には、ジョン・ヒューズが傑作青春映画群をいくつも生み出しました。その中でも『ブレックファスト・クラブ』に通底する思想を本作から感じます。同作は、本作と同様に学校から居残り自習の罰を与えられた、属性が全く違う少年少女たちが、それぞれを理解し相手を尊重することを学ぶ作品でした。

『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』は、ド派手かつコミカルで楽しいアクションアドベンチャーではあるものの、その実は、『ブレックファスト・クラブ』が描いた相互理解の物語なのです。渋谷を行き交うみなさんにも是非本作を観て、大切な人と相互理解を深めていただければと思います。

▼Information
『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』
http://pentagonpapers-movie.jp/
3月30日(金)よりMX4D/4DXにて先行上映
4月6日(土)TOHOシネマズ渋谷、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

▼中井圭 プロフィール
兵庫県出身。映画解説者。WOWOW「映画工房」ニコ生公式「WOWOWぷらすと」「シネマのミカタ」TOKYO FM「TOKYO FM WORLD」などに出演中。「CUT」「STUDIO VOICE」「michill」「Numero TOKYO」「観ずに死ねるか」シリーズなどで映画評を寄稿。東京国際映画祭や映画トークイベントに登壇し、映画解説を展開。面白い人に面白い映画を観てもらって作品認知度を高めるプロジェクト「映画の天才」や物事に関心のある人を増やすPJ「偶然の学校」などを主催。

◆vol.23 原作ファンも唸る最新作『ちはやふる -結び-』
◆vol.22 驚異の長回し74分『アイスと雨音』
◆vol.21 兄弟姉妹の複雑な関係を描く『犬猿』

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