実はよく知らない、マナーのあんなことやこんなこと。知っておけばきっといつか役に立ちます。アップデートされたマナーのいろはについて一緒に学びましょう!
折目:人間だから、どうしてもミスが出てしまうもの。
起きてしまったことはしょうがないから、そのあとの行動がとっても大事よ。
真名:ぐすっ。うん。まずは服装ってやっぱりスーツかな。
折目:そうね、濃紺かチャコールグレーのスーツだったら問題ないと思うわ。
あと守代ちゃんは髪が長いから、きちんとまとめて、お辞儀をした時に顔に髪がかからないようにしてね。
顔にかかった髪を振り払う動作は少ない方が相手に「ちゃんと話を聞いてる」と思ってもらえるわ。
真名:今回は私の責任で、上司も一緒に来てくれるって言ってくれてるんだけど、上司にも悪くて……。
折目:こういう時はちゃんと報告して、ついてきてもらった方がいいわ。
先方にも「ちゃんと会社として向き合ってくれている」と思われるし、また、上司の対応も勉強になるから、悪いと思わないで、一連の流れを忘れないようにする気持ちでいるといいわよ。
そういえば、謝罪の日程は決まったの?
真名:うん、電話して、すぐに行くって言ったんだけど、都合がつかないから明日にしてくれって。
折目:ほっ、よかったわ。
ミスが出てしまった時は気が動転していることも多いから、アポなしで伺ってしまうケースもたまに聞くけど、ちゃんと先方のご予定を聞いて、動くのが正解よ。
到着時刻は、会社の受付に5~10分前に到着して、時間丁度に呼び出しをしてもらうのがベターね。
真名:うう、今から緊張してきた。
謝罪に行くときってやっぱりお菓子って必要だよね。
折目:そうね、日本人は気持ちを形で表す文化が根強いから、謝罪のお菓子は一緒に持っていくといいわ。
真名:買っちゃいけないものってあるの?
折目:その会社の近くで買えるものはNGね。どんなに有名な品でも、間に合わせと感じさせてしまうわ。
例えば、コンビニやスーパーに売っているお菓子の詰め合わせは謝罪には向かないわね。なかなか手に入らない老舗の和菓子屋さんのお菓子がベターかしら。
真名:私は明日伺うから少し時間があるけど、時間がない時は?
折目:ちょっと頑張っても百貨店に行った方がいいと思うわ。
お店の方もいろいろなケースを理解してるから、体裁も整いやすいしね。
あ、掛紙は間違っても水引の入ったものは使っちゃダメよ。お祝いを連想させてしまうからね。つけるとしたら、白い掛紙に“深謝”と入ったものがいいわ。
真名:だいたいいくらくらいなんだろう。
折目:5千~1万円くらいが相場かしら。
みんなで分けやすく、道具を使わず簡単に食べられるものがいいわ。
例えば、クッキーやカステラ、羊羹も定番。夏場はゼリーも清涼感があっておすすめ。
流行りのお店より、老舗の定番品の方がみんなが食べやすいわね。
折目:訪問当日は、5~10分前に会社の受付に到着して、時間ぴったりに呼び出してもらう。
部屋に通してももらっても、椅子に座らずに待ち、
・改めての謝罪
・状況説明と今後の対応
・菓子を渡して速やかに退室
が一般的な流れかしら。状況説明は言い訳にならないように、どうして今回ミスが起こったのかをきちんと把握して説明できないと、次回もまた同じようなことが起こるのでは……。と、また先方に疑われちゃうので、時系列できちんと説明できるようにしておいてね。
真名:緊張してうまく話せなくなりそうだけど、ちゃんとおさらいしなくちゃ。
間違って最初にお菓子を渡しちゃいそう。
折目:ここ結構勘違いしている人も多いけど、最後退出の前に、
「心ばかりですが、お納めいただけますと幸いでございます」
と言って、渡すのが正解。
あと、やりがちだけど、紙袋に入れたまま床に置いちゃダメよ!
真名:やるところだった……。
折目:人にお渡しするものは床に置いちゃダメよ。
紙袋から出して、机の上に置くのがマナー。紙袋のまま渡すのもNG。もし先方がお怒りで受け取っていただけないケースもあるかもしれないけど、その時は無理に渡さないで、持って帰ってきてね。
あと、お話ししている最中は、軽い印象になってしまうから首を小刻みに動かしたりしないこと。たまに和やかな空気になってしまうケースもあるけど、謝罪で伺った時は最後まで神妙な顔で。ついつい油断してしまうかもしれないけど、あくまで謝りに来ていることを忘れずに。
真名:ほ、他に気をつけることある?
折目:そうねぇ。帰りのエレベーターでお話ししないことかしら。
あと、訪問先の近所の喫茶店などに立ち寄るのも避けて。どこで誰がいるか分からないから、もしどうしても話したいことがある場合は一駅離れたところに行ってからがいいわ。
謝罪で緊張してしまうのはしょうがないことよ、それよりも誠意が伝わる方が大事ね。頑張っていってらしゃい!
マナー監修
田中ゆり子
30代中ごろにマナー講師の資格取得。ビジネスマナーや冠婚葬祭など講義や実用マナー検定を実施。40才でパフォーマンスインストラクター資格取得。2014年に一般社団法人ジュニアマナーズ協会を設立。理事長を務める。日本のマナーと世界共通の国際儀礼を中心に講演活動を行っている。マナーにまつわる著書も上梓。
イラスト:みき尾 取材:高橋優璃