2020年3月31日、東急東横店最後の営業日。昨今の状況を考慮し、ただただ粛々とクローズの瞬間を迎えました。最後に東横店店長が85年分の感謝を込めて一礼。
もう開くことのないシャッターが閉まり、たくさんの声に見送られながら、幕を下ろしました。
1923年の関東大震災の影響で、都内から被害が軽微だった郊外へ移り住む人々が増加。都心と郊外を結ぶ東横線が誕生し、東横線渋谷駅が開業しました。駅の2階には「東横食堂」がオープンし、この小さな食堂の誕生が、後の東横百貨店へとつながります。
1934年11月1日、渋谷駅に関東初の本格的ターミナルデパート「東横百貨店(東横店東館)」が開業しました。待ち合わせ場所として毎日にぎわうハチ公の銅像が渋谷駅改札口に設置されたのも同年。今では海外からハチ公目当てに渋谷に訪れる人もいるほど有名になりました。
太平洋戦争真っ只中の1945年5月25日の夜、代々木や渋谷一帯が空襲を受け、百貨店は1階を除き全焼。戦後は3、4階を映画館・劇場に改装し、映画や子ども向けの遊覧ケーブルカー「ひばり号」で戦後復興を進めました。
1951年10月27日、東横百貨店(東館)1階に「東横のれん街」が開業。今でも常にたくさんのお客さんが訪れ、特に夕方の時間には大賑わいになるほど多くの皆さまに愛されている場所となっています。
1973年から渋谷の街では「東急グループ」と「西武・セゾングループ」の開発競争が始まりました。様々な分野での競争が、「ファッション」「音楽」「映画」などのカルチャー発信地・渋谷としての印象を確立していき、若者文化の街へと変貌。今でも様々な文化が生まれては変化し、時には消えていき、また生まれるというサイクルを繰り返し、人々の思い出を創り出しています。
100年に一度の渋谷駅周辺の再開発がはじまり、東急東横店も幕を下ろすことになりました。
渋谷駅周辺の再開発完了は2027年度。あと7年先まで続きます。東急東横店の建物はなくなっても、その歴史は多くのお客さまと共に生き続け、また新たな渋谷の姿を支えていくことになるでしょう。
85年間ありがとうございました!