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【「能」はダイナミックな和製ミュージカル?!初心者でもわかる能楽鑑賞講座・前編】

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2017/10/2更新

セルリアンタワー能楽堂

ユネスコ無形文化遺産に指定されている日本の伝統芸能「能楽」。格式高く、かしこまった服装で行かなければいけないかも……。そのようなイメージをもつ「能楽」ですが、アクセスの良い渋谷に、普段の服装で気軽に鑑賞できる場所があるというのです。

しかし改めて考えてみると「能楽」についてよく知らないかも?
そこで今回は、セルリアンタワーの地下2階にある、セルリアンタワー能楽堂の喜多村麻有さんに、初心者でも楽しく「能楽」を鑑賞できるヒントを教えていただきました!

狂言は喜劇、能は和製ミュージカル!

セルリアンタワー能楽堂

そもそも「能楽」とはどういうものなのでしょうか?

喜多村さん
「能と狂言の総称が「能楽」なのですが、いずれも、日本の古い芸能のひとつです。能は大きく分けて演劇の中に入り、和製ミュージカルともいわれることもあります。能の舞台に出てくるのは基本、物語の登場人物となるシテ方とワキ方、コーラスを担う地謡(シテ方が担当)、そして音楽を担当する囃子方。ワキ方がストーリーテラーとなり、主人公であるシテ方は役を演じる以外にも、舞や謡を披露します。能のお話しの中に狂言を担当する狂言方も出てきますよ。

能と狂言の違いはなんでしょうか?

喜多村さん
「大きな違いは、ストーリーです。多くの場合、狂言の主人公は一般人の代表のような存在で、演目の冒頭で『私はこの辺に住んでいる者です』と名乗ります。そして大名など、当時でいう会社の上司、部下や身の回りの人との日常生活を、おおらかな笑いで表現する喜劇です。一方で能は、霊や神様など、この世ならざるものが主人公になることが多く、少しシリアスな話が多いですね。

『説明しよう!』から始まる親切な能

セルリアンタワー能楽堂

能は舞っているイメージしかないのですが…どのように話が進むのでしょうか?

喜多村さん
「西洋の演劇と違って、能には物語の場面を表すセットをほとんど使いません。その代わり、まずワキ方(助演のような役割)が出てきて『説明しよう!』といわんばかりに自分がどういう者か、これからどこへ向かうのかなどを言葉で説明してくれるんです」

親切ですね(笑)

喜多村さん
「そうなんです(笑) 状況説明が終わるとシテ方(主人公)が登場しますが、反対にこちらは名乗らず、何者かわかりません。ただ見るからに怪しい雰囲気を醸し出している……観客は『なんだろう』とワキ方との会話を聞いていく内に、シテ方の正体が段々とわかっていくのです」

歌舞伎や狂言もそうですが能って、昔の日本語を話すので現代人には少し難しい気がするのですが……。

喜多村さん
「不安に感じる方も多いですよね。セルリアンタワー能楽堂では入場時に、演目のあらすじが書かれたパンフレットがをお配りしています。そちらに目を通しておくと、セリフから地名などの言葉を拾うことができて、場面を理解できるので安心してください!」

実はダイナミックな能!鬼女からチャンバラまで

セルリアンタワー能楽堂 能「葵上」清水義也(観世流)平成27年公演より 撮影:辻井清一郎

能は静かな印象で、眠くなってしまいそうというのが正直なところです(笑)。

喜多村さん
「みなさんそう思われますが、実は能ってダイナミックなんですよ!
前半はゆっくりシーンの説明などをしますが、物語が転換した後は盛り上がる一方!演目にもよりますが、後半は、囃子方も舞も激しくなり、思わず舞台に目が釘付けになってしまいます。
ドンドンと舞台を踏む所作も多く、笛や鼓もこんなに吹き荒らし、打ち鳴らしていいのかと思うほどの激しさに、みなさんビックリすると思いますよ」

知りませんでした!喜多村さんが「ここぞ見どころ」と思う点はなんですか?

喜多村さん
「たくさんあります(笑)
初めて見たときは、囃子方のダイナミックな音に驚きましたね。美術品みたいに華やかな文様のついた装束にも目を奪われますが、それを着て舞うシテ方の動きも印象的です。
バレエなどは上に飛ぶ動きが多い踊りですが、能はスリ足を基本に、軸がブレることなく地に足をつけて舞うのです。ゆっくりとした動きの中の力強さに見惚れてしまいますね…」

初心者にとって見やすい演目などはあるのでしょうか?

喜多村さん
「源氏物語や平家物語を題材にした作品が多いのですが、中でも光源氏の愛人・六条御息所が正妻・葵上に嫉妬し、生霊となって出てくる『葵上』は初心者の方におすすめです。
念仏を唱える僧の後ろにスーッと出てくる、鬼女となった六条御息所はちょっとしたホラー(笑)鳥肌物の迫力です。でも最後は、自分の嫉妬した姿を省みて涙を流す、切ない場面も。

源頼光が主人公の『土蜘蛛』は、僧に化けた妖怪の土蜘蛛が、白い糸を舞台にまき散らしたりチャンバラもあったりして、アクション性が高くわかりやすい演目のひとつです。終演後は、白い糸の掃除が大変だったりします。」

セルリアンタワー能楽堂 能「土蜘蛛 千筋之伝」豊嶋三千春(金剛流)平成24年公演より 撮影:辻井清一郎

能にはチャンバラも出てくるんですね!

喜多村さん 「恐らく、想像されているものより激しくなく、型にそったものですが(笑)」

エンターテインメントがいっぱい!セルリアンタワー能楽堂ならではの演目

受付に置いてあるパンフレットを拝見すると、セルリアンタワー能楽堂では多くの公演が行われていますね。

喜多村さん
「色々な公演がありますが、当館主催の定期能は、初心者の方にもわかりやすいと好評です。はじめに解説が入り、仕舞を二番、狂言と能を一番ずつという構成が多いですね。」

能楽以外のオリジナル企画もあるんですね。「伝統と創造シリーズ」はどういう公演なのでしょうか。

セルリアンタワー能楽堂

「“日本の伝統的な様式をもつ能楽堂という空間に、コンテンポラリーダンスの振付家がどのように向き合うか”をテーマにしたシリーズです。能楽師とコンテンポラリーダンサーとのコラボ―レションで、また違った角度から能楽堂を楽しむことができます。次回12月の『伝統と創造シリーズvol.9 老松 -OIMATSU』は、古典能がモチーフになっていますよ。」

伝統的な能から、現代芸術との融合まで柔軟に楽しめるセルリアンタワー能楽堂。なんとクリスマスには、狂言とクラシック音楽を掛け合わせたオリジナル公演もあり、なんだか想像していたよりも能楽は近づきやすいのかもしれません。

セルリアンタワー能楽堂

公演がない日は、能楽堂の見学もできるそうです。ホームページに見学時間が掲載されているのでチェックしてみてくださいね。神聖な舞台に上がることはできませんが、客席から見上げる舞台はインパクトがありますよ!

渋谷駅からも近く、ラグジュアリーなセルリアンタワーの地下2階に位置する能楽堂。ぜひみなさんも一度足を運んでみてはいかがでしょうか?

次回の後編では「これを知っているともっと楽しめる!能のあれこれ」について、喜多村さんに教えてもらいます。お楽しみに!

セルリアンタワー能楽堂
東京都渋谷区桜丘町26-1 地下2階
http://www.ceruleantower-noh.com/




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