エネルギッシュなムードが漂う渋谷も、夜になればどこからともなく大人が集まり、渋谷という街にひっそりと酔いしれます。
渋谷という街にはどんな一杯が合うのでしょうか。今晩のお店のバーテンダーに聞いてみましょう。
青山学院大学を横道に逸れて、少し歩くと黒い大きな窓にこれまた大きく“V”と書かれたウィンドウがある。
うっすら店内が見え、焚き火のような揺らめきがうかがえる程度。
意を決して、数段ある階段を昇って扉を開ければ、カウンターにソファ席。そして焚き火は本物の暖炉だった。
バーテンダーの紅林さんに渋谷に合うカクテルをオーダー。
「せっかくなので、シェイカーを振るショートカクテルを作りましょう。ニューヨークで流行った、“エスプレッソマティーニ”です。
本来はコーヒーリキュールにブランデーを使うんですが、渋谷をイメージしたカクテルということなら、渋谷のスクランブル交差点が思い浮かんだので、スコッチウィスキーのジョニーウォーカーを選びました。
あとは自分で落としたエスプレッソと一緒に。コーヒー大好きなんですよ」
最後にオレンジオイルを炎とともにグラスに吹きかける
手早い動きで作られたカクテルはこっくりとしたブラウンカラー。顔の近くにカクテルが運ばれると爽やかな香りが漂う。
「ちょっと入りづらいと思われてるかもしれませんが、うちの接客はカジュアル。勇気を出してドアを開けてくれれば、堅苦しくない時間を過ごせると思いますよ」というマネージャーの平良さん。
最初は物静かなタイプだと思っていた紅林さんも、優しい語り口。いつの間にか声を出して笑ってしまっていた。
Bar VALLEYは青山で13年目。紅林さんは渋谷歴20年だと言う。
「最近の渋谷はおもしろくていいバーが増えたと思います。渋谷でお酒を出すところは横のつながりも深く、お酒が好きな人は楽しめる街。
昔の渋谷を知る人としては、最近の渋谷の夜は少しさみしい感じになってしまったけど、若い子はおもしろい子が多い。物の価値を分かっている人がまだまだいるな、と思います。
この間、青山学院大学の卒業生という方がきて、『学生時代からずっと憧れて5年経ってやっと来れました』ていう方が来てくれたんですよ。
もっと早く来てくれればよかったのに(笑)」
ビジネスシーン、カップル、友だちとのグループ利用が多いそうだが、ひとりでも歓迎。
20代ほどの男性も女性もひとりで来て、思い思いの時間を過ごしていく。
バーテンダーは紅林さんの他に、男性と女性がひとりずつ在籍している。
「看板メニューはモヒート。フルーツカクテルも人気ですし、ハーブを漬け込んだジンで作るジンソーダ、またはトニックとソーダを入れたジンソニックもおすすめ。うちはちゃんとお酒がおいしいお店。大人が多いから、誰と来ても楽しい時間を過ごしてもらえると思います」
店の中心にある暖炉の炎が優しくホッとする。
見た目は重厚だが、入ってしまえば都会の別荘と謳っている通り、とてもくつろげる空間。
身を委ねられるようなお店を見つけた気がする。
「Bar VALLEY」
https://www.bar-valley.com/
営業時間 20:00~4:00
(3:00ラストオーダー)
休み 12月31日〜1月3日
住所 東京都渋谷区渋谷2-2-6 青山ホワイトアドビービル 2F
電話番号 03-6419-9599
渋谷という街の今日の一杯 Vol.12 「INC COCKTAILSのコスモポリタン」
◆渋谷という街の今日の一杯 Vol.11 「Cafe & Bar CALLASのアイスとカフェラテのカクテル」
◆渋谷という街の今日の一杯 Vol.10 「Bar TRIADのThe GreenWay」