質の良い睡眠が不足している?睡眠の質を上げる方法を徹底解説!

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朝起きたときに、「なんかすっきりしない」、「昨日の疲れが残っている」という人は、良質な睡眠がとれていないのかもしれません。厚生労働省では睡眠対策情報として「健康づくりのための指針2014」を掲げ、健康づくりには睡眠が不可欠と説いています。では、どのようにすれば質の良い睡眠をとることができるのでしょうか。睡眠の質を上げるための生活習慣、食べ物・飲み物、そして快眠グッズを解説していきます。

「質の良い睡眠」とは?

ではそもそも「質の良い睡眠」とはどういうものでしょうか。良質な睡眠は、ただ睡眠時間を長くしたり、寝る時間を早めたりすれば良いというわけではありません。「ぐっすり感」、そして「すっきりとした目覚め」が必要と言われています。そしてこれらは、睡眠中に分泌されるホルモンと関係があるようです。

疲労を回復させる「成長ホルモン」

人は眠っているとき、一晩に「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」を約90分のサイクルで、4~5回繰り返しています。眠りが浅い「レム睡眠」下の体は休息していますが、脳は夢を見るなど活動している状態です。レム睡眠の後には、深い眠りの「ノンレム睡眠」に入り、脳も休息に入ります。最初の1~2回のサイクルが最も眠りが深く、朝に向かってだんだん浅くなっていくため、浅いレム睡眠時に起きるのが理想的です。

そして「ぐっすり感」を得るには、最初の深いノンレム睡眠時に分泌される「成長ホルモン」が欠かせません。成長ホルモンは、細胞の修復や骨格形成、疲労回復、免疫力向上などに関係しており、美肌づくりに欠かせない「ターンオーバー」も成長ホルモンが分泌されることで起こります。肉体的な回復だけでなく、脳などに蓄積された疲労回復やストレスの軽減、記憶の定着にもノンレム睡眠は関係するので、心と体両方の疲労回復に睡眠が必要なのです。

目覚めを促す「コルチゾール」

目覚める1~2時間前から、成長ホルモンに代わって「コルチゾール」というホルモンの分泌が高まっていきます。これは、血糖値や血圧を上げて、覚醒する準備を整えるホルモンで、「すっきりとした目覚め」に欠かせないものです。

コルチゾールは起床時刻に合わせて自然に分泌されるため、明け方に突然起された場合など、サプライズによる起床時には分泌されないので注意しましょう。ストレス耐性を担うホルモンでもあるので、コルチゾールがしっかり分泌されていないと、体の準備が整わずに「朝がつらい」と感じる場合があります。

睡眠の質を上げる方法とは?

厚生労働省が掲げる「健康づくりのための指針2014」では、睡眠指針として以下の12箇条を挙げています。特に太字の条件、2,6,7,10については良質な睡眠を摂るために欠かせないものなのできちんとチェックしましょう。

【健康づくりのための睡眠指針 2014 ~睡眠 12 箇条~】

  1. 良い睡眠で、からだもこころも健康に。
  2. 適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
  3. 良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
  4. 睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
  5. 年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
  6. 良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
  7. 若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
  8. 勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
  9. 熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
  10. 眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
  11. いつもと違う睡眠には、要注意。
  12. 眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。
    出典:厚生労働省「健康づくりのための指針2014」より

睡眠の質を上げる方法(習慣編)

指針「2.適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。」にあるように、睡眠の質を上げるには、生活習慣を見直すのが近道です。

規則正しい生活習慣は、人の体に備わっている体内時計を整えてくれます。体内時計が整うと、体内の機能調節やホルモン分泌を手助けするため、意識せずとも日中は活動的に、そして夜間は休息モードに切り替わり、自然な眠りに導かれます。では、どのような生活習慣で、睡眠の質を高めることができるのでしょうか。その方法をご紹介します。

朝は決まった時間に目覚めて朝日を浴びる

人の体内時計の周期は、実は24時間より少し長いのが特徴です。そのため、体内時計をリセットしないとずるずると生活のリズムが後ろにずれていってしまいます。

体内時計の調節には、朝起きたときに日光を浴びるのが効果的です。わざわざ外に出なくとも、カーテンを開けて自然な日光を部屋に取り入れればOKです。日光を浴びると、夜に自然な眠りを誘う「メラトニン」というホルモンが分泌されます。質の良い睡眠を得るには、まず目覚めの習慣を見直しましょう。

適度な運動習慣

適度な運動は体をほどよく疲れさせるため、快眠につながると考えられています。激しい運動ではなく、体への負担が少なく長続きができそうな運動を取り入れるのがおすすめです。速足の散歩や、軽いランニングなどの有酸素運動を心掛けましょう。夕方から夜にかけて、就寝の3時間前には終わるタイミングで行うと効果的と言われています。眠る直前は、かえって体を興奮させてしまうので避けましょう。

ぬるめの入浴でリラックスタイム

自然な眠気は、体温が低くなってときに感じられます。そのため、就寝の2~3時間前に、38度ほどのぬるめのお湯に5~30分ほど浸かって、じんわりと体を温めましょう。副交感神経にスイッチが入って、緊張がときほぐれ、心身ともにリラックスできます。

反対に、40度以上の熱めのお湯は交感神経に切り替わって、体が覚醒してしまうので、夜は避けるのがおすすめです。しっかり体を温めれば、布団に入るタイミングで体温が下がり、ぐっすり眠れる可能性が高まります。

寝る前のゲームやスマホいじりは禁止!

朝の光と違って、夜の光は体内時計を遅らせる効果があります。特に蛍光灯などの白い光や、パソコン、ゲーム機、スマートフォン(携帯電話)などの画面から発するブルーライトを浴びるのは禁物! 夜更かしの原因にもなります。赤っぽい暖色系の間接照明をつけて音楽を聴くなど、リラックスして自然な眠気を待ちましょう。指針に「10. 眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない」とあるように、“眠気を感じたら眠る”くらいの気持ちで過ごすのがおすすめです。

睡眠の質を上げる方法(食べ物・飲み物編)

一見関係なさそうですが、実は「食事」も、睡眠を整える大事な要素です。ではどのような食べ物、飲み物がよいのでしょうか。食事の習慣も含めて、解説していきます。

朝食はしっかり食べる!

「充実した日の夜はぐっすり眠ることができる」という人は多いかもしれません。充実した一日をつくるには、日中の活動を支えるエネルギーが必要ですよね。そのエネルギーを補い、体を目覚めさせるのに、朝食はとても大切です。トーストにスープなど、簡単なものでも良いので、きちんとエネルギーをチャージしましょう。

就寝3時間前には夕食を済ませる

寝る直前に夕食や夜食を取ると、体は食べ物の消化活動を優先するため、内臓が休息できず、結果的に睡眠が浅くなり、疲労回復を妨げてしまいます。そのため、就寝時には消化が終わっているように、寝る3時間前には食事を終わらせておきましょう。

夕食のメニューは、就寝中に体の修復や「メラトニン」の材料になる肉や魚、卵や乳製品などの必須アミノ酸を含むタンパク質を中心にするのがおすすめです。メラトニンは自然な眠りを誘ってくれるため、快眠につながります。

温かい飲み物で眠気を誘う

寝つきが悪いとき、内臓を温めてくれる温かい飲み物はぴったりです。ポカポカした後、自然に体温が下がって自然な眠りに誘われます。

このとき、コーヒー、緑茶、チョコレートなど覚醒作用のあるカフェインを含む飲み物は避けてください。また、就寝前の喫煙はかえって刺激になります。アルコールも最初の寝つきは良くとも、全体的に浅い眠りになってしまうので、おすすめしません。

【就寝前におすすめの飲み物】
・白湯:胃腸に負担をかけずに体を温めてくれます。
・生姜湯:生姜は体の末端までポカポカにしてくれます。市販のものでも、調味料の生姜チューブとハチミツをお湯に溶かしたものでもOK。
・カモミールティー:心身をリラックスさせるハーブティーですが、妊娠している方は避けましょう。

睡眠の質を上げる方法(グッズ編)

指針「6. 良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。」とおあるように、睡眠の質を上げるには自分に合った寝具を選ぶことが大切です。ではそもそも寝具はどのような役割があるのでしょうか。詳しく解説していきます。

首の隙間を埋める枕を選ぶ

頭を支えてくれる枕。朝起きたときに首や肩のコリを感じる人は、枕が合っていないのかもしれません。人が壁に沿うように直立すると、後頭部から肩にかけて隙間ができます。寝ているとき、立ち姿勢と近い自然な姿勢を保つように、その隙間を埋めるのが枕の役割です。

一般的に、ベッドマットや敷き布団と首の角度が傾斜5度になるような枕を選ぶと、首や肩への負担が減り、寝入りがスムーズになると言われています。しかし、この隙間の深さは個人差があるうえ、自分好みの高さと体型に合った高さが異なる場合もあるので注意です。寝具専門店などで首のカーブの角度を計測してもらい、自分に合った枕を選びましょう。

仰向けでベットマットや敷き布団の硬さを選ぶ

ベッドマットや敷き布団を選ぶとき、自分に合った硬さをなかなか見つけられず、悩む人は多いのではないでしょうか。人の体は、高等部から首・胸にかけて、そして胸から腰にかけてS字のカーブを描いています。

そのため、マットが柔らかすぎると腰と胸が沈みすぎてS字カーブが大きくなりすぎ、腰痛の原因に。反対に硬すぎると、骨が当たって痛みを感じるほか、血流が悪くなることもあります。したがって、体の姿勢を保つには、S字カーブをバランス良く支えることができる、適度な硬さが必要です。仰向けの姿勢が、最も体の力が抜けてリラックスした状態なので、ベッドマットや敷き布団を選ぶ際は、仰向けに横たわって寝心地を確認しましょう。

保温性だけでなく吸湿性も重要な掛布団

就寝中はコップ1杯分の汗をかくと言われていますが、これは深い眠りを保つために体内から熱を出しているからです。そのため、汗を吸収して放散させる吸湿性・放湿性、そして放熱による低体温を防ぐ保温性に優れた掛布団を選ぶことが大切です。

自然な眠気には体温の低下が関係しますが、気温が低くなる冬などの季節は、寝具が冷えているとなかなか寝付けませんよね。冬場は、特に布団の中、寝床内環境を整え、暖かくするようにしましょう。羽毛布団の上に毛布をかけて保温性を高めるほか、湯たんぽや電気毛布などで寝る前にあらかじめ寝床を温めておくのもおすすめです。

まとめ

質の良い睡眠は、体も心も健康に保つことができ、生活習慣病の予防にもつながります。「疲れやすい」、「肌の調子が悪い」、「イライラが続いている」など、どこか不調を感じている人は、生活習慣や眠りの環境を見直してみましょう。

働いている人は、忙しいときほど食事や睡眠時間を削ってしまいがち。しかし仕事の能率アップには、実は疲労回復&頭の中を整理できる「睡眠」がおすすめです。朝日を浴び、しっかり朝食を取り、仕事に集中したら、ぐっすり寝て、また次の日がんばりましょう!

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